刊行物カテゴリー: 詩集

菊井崇史詩集 遙かなる光郷へノ黙示

著者:菊井崇史
定価:2000円+税
判型:A5判
ページ数:108
ISBN:978-4-908568-16-9

著者自身の印刷・製本により少部数のみ制作された幻の私家版詩集を復刻

詩の雨が降っている。とうとうやって来た詩の雨が降っている。ひたすら詩の雨が降っている。詩の風景は、詩が書かれることによってその都度、更新される。しかし圧倒的なヴィジョンの顕れ「月膚に千々ノ草花、むさぼる観音の瞳」によって詩の風景にとうとう、革命的な〝光〟が顕れたのである。詩の風景は開け放たれた。
(岸田将幸氏解題より抜粋)

若尾儀武詩集 枇杷の葉風土記

著者:若尾儀武
定価:2000円+税
判型:四六判上製
ページ数:104
ISBN:ISBN978-4-908568-14-5

戦禍に葬られた人々の聲を遠い歳月の記憶が消えぬ間にいまここに呼び戻す。
内に残る切れぎれの声を遡上し、いのちと正対した女たち、子供たちの戦争を聞く。
「丸山豊記念現代詩賞」受賞詩人の第二詩集。

遠(とお)で空襲警報が鳴ってました
わたしは竈の火 落さんと
大鍋いっぱいのキャラブキ煮てました
そしたら お母ちゃん
担いでいった鍬 ほったらかしにして
家の戸開けるなり
グラマン 生駒山越えて来よった
キャラブキなんかもうどうでもええ
はよ防空壕に入り!
言わはって

カヨのキャラブキはうまい
苦みうまいこと残して
いつ どこで覚えたんやろな
遅い春の夕飯
お母ちゃん
いつも感心したように言うてくれはるのん
それが聞きたくて

〔…〕

カヨは頑固(こわ)い子や
なに考えてるのか分からへん
お母ちゃんはそういいます
そやけどお母ちゃん
キャラブキのこと
ほんまにどうでもよかったんですか
とろとろと手ェ掛けて守るほどのもん
他にあったんですか
いのちは
ほんまに防空壕に入って守るほどのもんやったんですか
あの時代
(『枇杷の葉風土記』十五より抜粋)

著者プロフィール
若尾儀武 (わかお・よしたけ)
1946 年、奈良県大和郡山市の農村部に生まれる。現・ 神奈川県藤沢市在住。
2015 年、第一詩集『流れもせんで、在るだけの川』(ふらんす堂)にて、第 24 回丸山豊記念現代詩賞受賞。

中尾太一 詩集 ナウシカアの花の色と、〇七年(ゼロナナ)の風の束

著者:中尾太一
定価:2500円+税
判型:菊変形上製
ページ数:92
ISBN:ISBN978-4-908568-12-1

第10回鮎川信夫賞受賞

重層化された中尾詩学の奥底に潜む抒情の創痍
その新たな展望を示す待望の詩集

鳥の絵の大きな叛旗をかざして
詩は自由の地へ行く
中尾太一のあふれるエレジー
その未踏のカナシミを大声で歌え!

かつて/世界概観バイシクルの車輪が回ると風が吹いていた、太陽の光を少しだけ信じていた虹の青は銀やんまの銀に溶け/突出したさいのうを風の中に送った、二、三、四人、の壊れたペダリングにうきうきした日から、詩がずっと若いよ(「ちからのオリジン、二〇〇七」より)

著者プロフィール
中尾太一(なかお・たいち)
1978年鳥取県生まれ。2006年、思潮社50周年記念現代詩新人賞受賞。2007年、第一詩集『数式に物語を代入しながら何も言わなくなったFに、掲げる詩集』を刊行。詩集に『御代の戦示の木の下で』(2009年)、『現代詩文庫 中尾太一詩集』(2013年)、『a note of faith ア・ノート・オブ・フェイス』(2014年)。

川田絢音詩集 白夜

著者:川田絢音
定価:2200円+税
判型:A5変形判並製
ページ数:82
ISBN:978-4-908568-11-4

川田絢音最新詩集 『雁の世』以後の詩と生に流れた緊密な時のささやき 川田詩学の猶予なき未来が白い光の地平に見える

福島直哉詩集 わたしとあなたで世界をやめてしまったこと

著者:福島直哉
定価:2400円+税
判型:A5変形並製(クータ)筒函入り
ページ数:120
ISBN:978-4-908568-09-1

波の音はいつまでも鳴り響いているだろう。空はいつまでも青を広げているだろう。やがて誰もいなくなった浜辺には光や風が届いてくるだろう。そして誰かが残した足跡からは思いが溢れてくるだろう。わたしやあなたの思いも溢れてくるだろう。光に照らされて、生きている人々の、死んでしまった人々の、すべての思いが溢れてくるだろう。そうして、すべてというすべての思いが風に乗って、これから生まれてくる人々に向かってゆくだろう。

屈折と断絶、そして邂逅と別離の限りなき反復
ふたつの若い身体に訪れる息詰まる試練を
世界は新たな希望と見なすのだろうか
現代詩の現在に誕生した若々しい恋歌、
福島直哉第一詩集刊行

鈴木正枝詩集 そこに月があったということに

著者:鈴木正枝
定価:2000円+税
判型:四六判並製(クータ)
ページ数:112
ISBN:978-4-908568-07-7

遠すぎる距離が淋しいだけ
時の往来、日々の陰陽にひそむ解き得ないこころの揺れ。その揺れの小さな叫喚にそっと手を寄せる。鈴木正枝第二詩集刊行。

薄い闇が忍び寄るころ
初めて気づく
そこに月があったということに
ほんとうはずっとそこにあった
町も家々もずっとそこに
〔...〕
私は想っている
そうやって部屋がひとつ消えたことを
そうして
そのぶん町は暗くなるのだ
どんどん容赦なく暗くなっていくのだ
忘れない
気づかれなかったという現実が
何年も物言わず溜まっていくということを
Mよ
私は忘れない
──「陽が落ちて」抜粋

米山浩平詩集 四千の通行人

著者:米山浩平
定価:2000円+税
判型:四六判上製
ページ数:88
ISBN:978-4-908568-04-6

詩作者の書いた
(不可視)を越えて
(無数)から
ひとつを救い出さなければならない

遊戯でもなく懐疑でもない
詩史の揺らぎに対峙する真新しい言葉の生成
そこに問われているものは何か……

河口夏実詩集 雪ひとひら、ひとひらが妹のように思える日よ

著者:河口夏実
定価:2400円+税
判型:A5判変型筒函入
ページ数:120
ISBN:978-4-908568-05-3

早いうちに飛び立っていった小鳥が降らせた
雪が中空に舞い、滞る
その雪の塊が落ちながらひらいていくのを見ていた
僕らは
道の途中で立ち尽くしていたんだ

夕暮れ時の天空から舞い降りた小さな精霊のよう
ニール・ヤング、プレスリー、ジェシ・ウィンチェスターの歌に
やわらかな夢幻の抒情が響きあうとき……

第27回歴程新鋭賞受賞

稲川方人詩集 形式は反動の階級に属している

著者:稲川方人
定価:2200円+税
判型:四六判上製
ページ数:128
ISBN:978-4-908568-01-5

未刊詩篇を再編した稲川方人、初めての、そして最後の詩篇集。
1990年代以後の現代詩の「抒情」を、傷だらけの時代へと召喚し、多様な声の交叉するその場から眺望される未踏の詩学!
漫画家・ユズキカズの少年像が誘う。

古賀忠昭詩集 古賀廃品回収所

著者:古賀忠昭
定価:2400円+税
判型:四六判上製
ページ数:144
ISBN:978-4-908568-00-8

没後7年、その死の直前に書き積もらせた圧倒的な詩群を新たに編集した一書。『血の穴』『血のたらちね』に続く、棄民たちの昭和への怨念がここにまた吐き出される! 戦後現代詩が書き得なかった極地にいまだ古賀忠昭は立っている。

著者プロフィール
古賀忠昭(こが・ただあき)
1944年、柳川のはずれの干拓地に生まれる。25 歳頃まで家業の農・漁業に従事。その後、廃品回収業を営む。2008 年、没。
詩集『泥家族』(71)、『念仏のうた』(72)、『土の天皇』(75)、『血ん穴』(06)、『血のたらちね』(07・丸山豊記念現代詩賞受賞)