野木京子さんが詩集『廃屋の月』により第75回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞!

野木京子さんが詩集『廃屋の月』の成果により第75回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞されました。

空の河原かどこかで逢ったことのある
小さな子が部屋の隅から出てきて言った

ゆっくりと回転しながら
この世に現れ出たのだから
立ち去るときもきっと
見えない姿のまま
ゆるやかに回転して
戻っていくはず
そのとき真新しい風を頰に浴び
初めての色彩の景色を見るから
楽しみにしているとよいよ

(「空の河原」より)

水面に落ち込んだかつての月明かり、今は亡き人が昔飼っていた犬の鳴き声、夢うつつの気水域に立ち現れるさざなみのような声や断片を拾い集めるように書き継がれた32篇。詩人・野木京子、第6詩集。
装幀=稲川方人


『廃屋の月』
四六判・並製/120頁/2200円+税

3/3(月)19時〜、綿野恵太さんのシラス配信に大杉重男さんゲスト出演

3/3(月)19時からの綿野恵太さんのシラス配信「綿野恵太の失われた批評を求めて」のゲストとして大杉重男さんが主演します。
『日本人の条件 東アジア的専制主義批判』の刊行を記念しての配信です。
詳細については下記の配信サイトをご覧ください。

【ゲスト回】「最後の文芸批評家」が語る『批評の歩き方』『重力』そして『日本人の条件』
3月3日(月)19時より
https://shirasu.io/t/edoyaneko800/c/edoyaneko800/p/20250226095916?utm_source=twitter&utm_medium=organic&utm_campaign=share

ぜひご視聴ください。

冨岡悦子詩集『斐伊川相聞』第58回日本詩人クラブ賞受賞!

冨岡悦子さんの詩集『斐伊川相聞』が第58回日本詩人クラブ賞を受賞しました。

八雲たつ地は きょうは雨降り。出雲空港に降り立ったひとつの意志が時を重ねたみずからの生の消息を川の
蛇行に沿ってさまよう父に告げる。
小熊秀雄賞・小野十三郎賞受賞の『反暴力考』から4年、冨岡悦子新詩集。


『斐伊川相聞』
四六判・上製(コデックス装 ドイツ装)/80頁/2400円+税

野木京子詩集『廃屋の月』第3回西脇順三郎賞受賞!

野木京子さんの詩集『廃屋の月』が第3回西脇順三郎賞を受賞しました。

最後に満月を見た日のことは覚えていないけれど
夜になると見るだろう月の姿を昼のうちに思い描くことはできる
わたしにも透き通る触手があればいいのに
そうしたら進む道などは光の方向でしかなくなるから

水面に落ち込んだかつての月明かり、今は亡き人が昔飼っていた犬の鳴き声、夢うつつの気水域に立ち現れるさざなみのような声や断片を拾い集めるように書き継がれた32篇。詩人・野木京子、第6詩集。
装幀=稲川方人


『廃屋の月』
四六判・並製/120頁/2200円+税

【新刊】蜆シモーヌ詩集『uta こめでぃあ uta』を刊行しました。


『uta こめでぃあ uta』

戦争、信仰、たべもの、愛、存在、涙、運命、恍惚… 
オーラルにもテクスチュアルにも伸縮する言葉の群れが世界をユーモラスにうたい照らしだす
コラージュ詩から言語芸術論詩まで
複色に光る詩語たちの行進!蜆シモーヌ第三詩集

じゃ、なにか
人生は
空耳なのか。と、鼻をつまむと
そりゃー
地獄だろ、人生は。と、人生がいう
(「ランチもっと、う。まうまなランチを。地獄で」)

【新刊】中島一夫『アフター・リアリズム 全体主義・転向・反革命』を刊行しました。


『アフター・リアリズム 全体主義・転向・反革命』

文学とは、つねに転向者のものである

中村光夫、平野謙、江藤淳、蓮實重彦、三島由紀夫、転向と文学の問題に直面したものたちのリアリズムへの懐疑を通じ、文学にふたたび「転向」という主題を導入する!
転向論のほか、ラーゲリ、保守革命をめぐる諸論考、論争的時評・書評を集成した批評の軌跡。
装幀=稲川方人

私は「私」という言葉に「帰属」しない「残滓」にしかいない。それは「失われた=残滓」としての「ラザロ」だ。「探求としての文学の言語」は、言葉によって死んだ「ラザロ」を蘇らせ再現するのではなく、いかに墓の「ラザロ」、失われた「ラザロ」を求めるか、なのだ。いくら転倒して見えようとも、この逆説にしか文学の真実はない。究極、文学は、ラザロを蘇らせる者と、失われたラザロを求める者とのたたかいである。本当の文学論争はそこにしかない。
(「はじめに アフター・リアリズム、あるいは失われたラザロについて」より)

【新刊】『藤田文江全集』を刊行しました。


『藤田文江全集』

戦前・鹿児島の知られざる詩人・藤田文江。
わずかな生涯の中で、その身の内に躍動する漆黒を見つめた藤田の「聲」を、いま呼び起こす。

左川ちか、永瀬清子と同時代を生き、中野重治に高く評価された詩人の初の全集。
唯一の詩集『夜の聲』全篇と未収録詩篇、散文、書簡、編者による解説、妹・林山鈴子氏へのインタビューを収録。
編者=谷口哲郎/装幀=稲川方人

夜の聲は何故こゝまでやつて来た。
おまへの咳を聞いてゐると
私はたまらなく寂しくなる。
然し私は私の里おまへに媚びるよ
私はおまへと共にある時
ほんのわづか富んでゐるのだから。
(『夜の聲』より)

四六判・上製/460頁/3000円+税

【新刊】大杉重男『日本人の条件 東アジア的専制主義批判』を刊行しました。


『日本人の条件 東アジア的専制主義批判』

これは「入門書」でも「専門書」でもない。「門」を破壊する「破門」の書である。

憲法九条、「歴史認識」論争、日本語のエクリチュールを新たな視点から批判的に読み直し、和辻哲郎、夏目漱石、谷崎潤一郎、徳田秋声、福本和夫、中野重治、保田与重郎、大西巨人、三島由紀夫、中上健次、大江健三郎、山田美妙らのテクストの転覆的読解を試みて、「東アジア的専制主義」批判から「東アジア同時革命」へ向かう。「最後の文芸批評家」による「最新」の「時間錯誤」的日本=文芸批評。
装幀=清岡秀哉

「私がここで素描を試みたいのは、日本人が「主体性」あるいは「主権」を持つべきなのか、持たないことによってどのように「人間」あるいは「動物」から隔たっているのか、持つとすればそれはどのようなものでなければならないか、そうした問いを、専ら文学を中心とした近現代の日本の文化言語表象の分析を通して検証することである。これは「日本人」の条件を問うことであると同時に「日本国」「日本語」「日本文学」の条件を問うことでもある。」(「序章「日本人工学三原則」としての憲法九条」より)

A5判・上製/536頁/4500円+税

【新刊】中尾太一詩集『ルート29 、解放 新装版』を刊行しました。


『ルート29 、解放 新装版』

中尾太一詩集『ルート29、解放』(2022年)が森井勇佑監督(『こちらあみ子』)により映画化!
映画『ルート29』原作詩集の新装版
装幀=清岡秀哉
四六判・並製/136頁/2000円+税

▪️映画公開情報
『ルート29』
11月8日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
出演:綾瀬はるか、大沢一菜、市川実日子、高良健吾、河井青葉
監督・脚本:森井勇佑
配給:東京テアトル、リトルモア
©2024「ルート29」製作委員会
公式サイト:route29-movie.com/

野木京子詩集『廃屋の月』第35回富田砕花賞受賞!

野木京子さんの詩集『廃屋の月』が第35回富田砕花賞を受賞しました。

最後に満月を見た日のことは覚えていないけれど
夜になると見るだろう月の姿を昼のうちに思い描くことはできる
わたしにも透き通る触手があればいいのに
そうしたら進む道などは光の方向でしかなくなるから

水面に落ち込んだかつての月明かり、今は亡き人が昔飼っていた犬の鳴き声、夢うつつの気水域に立ち現れるさざなみのような声や断片を拾い集めるように書き継がれた32篇。詩人・野木京子、第6詩集。
装幀=稲川方人


『廃屋の月』
四六判・並製/120頁/2200円+税