【新刊】『映画夢情(えいがゆめなさけ)』を刊行しました。

1960年代初めより映画への溢れる愛憎を自在闊達な思考と文体で書き継いできた佐藤千穂。その知られざる全容を集成。



『映画夢情』

四六判上製/676頁/定価:4800円+税
解題=梶間俊一(映画監督)/荒井晴彦(脚本家/映画監督/「映画芸術」代表)

ボクにとっては近年最も刺激的な映画論集であった。 梶間俊一

小川徹の「裏目読み批評」なんて、いまや誰も知らないだろう。女小川徹みたいな千穂節の映画評論を世に知らしめたいとずっと思っていた。 荒井晴彦

【新刊】中尾太一 詩集『ルート29、解放』を刊行しました。


『ルート29、解放』
薄く、張り裂けそうな詩の皮膚に精いっぱいの光を浴びて予感する明日のポエトリー
中尾太一新詩集!
A5判変形/144頁/定価:2800円+税
装幀=稲川方人/カバー写真撮影=菊井崇史

声を押し殺し
こころを固く閉ざし
わたしも、あなたも
生まれたというたったひとつの史実に現れようと
中指を突き立てる
(「飛行機雲」より)

岸田将幸詩集『風の領分』第29回萩原朔太郎賞受賞!

岸田将幸さんの詩集『風の領分』が第29回萩原朔太郎賞を受賞しました。

ごらん、これがほんとうの正午の火照り。きみに影をつくる、生きて在ることの静かな明るさ
現代詩の主体と詩語のありかを問い続けてきた詩人・岸田将幸。
前詩集『亀裂のオントロギー』から7年、静かなる耐久の時間を経て、限りある存在の地平から詩にゆるやかな解放をもたらす待望の第六詩集。


『風の領分』
A5判変形/112頁/定価:2800円+税

多田陽一詩集『きみちゃんの湖』第52回横浜詩人会賞受賞!

多田陽一さんの詩集『きみちゃんの湖』が第52回横浜詩人会賞を受賞しました。昨年コロナ禍で選考が延期となり、今年2回分を決める形になったそうで、昨年度分の受賞です。

障がいと向きあう子供たちへの真摯な眼差し。
彼らのこころと身体の姿に言葉が寄り添うとき命の場所がきらめく。
長らく特別支援教育に携わってきた著者が綴る28篇の詩。


『きみちゃんの湖』
四六判/128頁/定価:2000円+税

【新刊】岸田将幸 詩集『風の領分』を刊行しました。

ごらん、これがほんとうの正午の火照り。きみに影をつくる、生きて在ることの静かな明るさ


『風の領分』
A5判変形/112頁/定価:2800円+税

現代詩の主体と詩語のありかを問い続けてきた詩人・岸田将幸。
前詩集『亀裂のオントロギー』から7年、静かなる耐久の時間を経て、限りある存在の地平から詩にゆるやかな解放をもたらす待望の第六詩集。
装幀=著者自装

本書は単純な章立てで構成した。この四つの場所を行ったり来たりしているのが近年の詩の正直な姿で、それ以上ではない。あとは、おぼつかない生活があるだけである。
それでも、僕は依然として誰かを、何かを説得しようとしている。
(「後書」)

【紀伊國屋書店新宿本店2F・2021年2月1日〜】
「過剰」フェア開催のお知らせ

2月1日(月)より紀伊國屋書店新宿本店2Fにて、「第一詩集揃い踏み記念『過剰』ブックフェア 『過剰』に至る15冊+落語と映画と歌」が開催されます。

「過剰」の三人の第一詩集(藤本哲明さん『ディオニソスの居場所』思潮社・2017年、大野南淀さん『アラバマ太平記』思潮社・2020年、村松仁淀さん『ホール・ニュー・ワールド』書肆子午線・2020年)が出揃ったことを記念してのブックフェアで、彼らが選んだ推薦本15冊が並びます。

ゲストに菊井崇史さんを迎えたフリーペーパーも配布しておりますので、ぜひお立ち寄りください。

【新刊】村松仁淀 詩集『ホール・ニュー・ワールド』を刊行しました。

多彩なスタイルを駆使して描き出す新しい世界の息づき。
共同詩集『過剰』で注目された村松仁淀、登場!

栞=藤本哲明/稲川方人


『ホール・ニュー・ワールド』
四六判上製/128頁/定価:2400円+税

彼の罅割れた詩の器は、矩形の軽トラとなって海を渡っていく。
藤本哲明

潰れかかった想いがひとつ、酒に火照った身がひとつ、雨のなか傘もささずに、四天王寺まで、と嬉しくもまるで歌謡曲のように書き出される傑作「リズム・ネーション」が描く、天空の幾多の星ほども遥か彼方に息づいている「まぶしい光の大きな町」で、僕は(僕らは)たったひとりになったとしても、愛しく懐かしい世界のことを忘れずに思い、やがて到来するだろう、心に沁みてくるものを待とう!
稲川方人

軽トラの車内に
あとからあとから演歌があふれ
軍歌があふれて
おれの両目に涙があふれる
おれの魂はリディムにあふれて
手動で窓を開けてみた
なだらかにどこまでも遠く続く
山の彼方へレゲエを届けるため
雑草の一片の青春を終わり
そして牧野博士
おれはみずからに学名を与えて
山のうえにあるあなたのための
植物園へ繁っていたい
それがたったひとつだけの
おれにできる報恩であるならば
あのザイオンよりもはるか
須弥にまで鬱蒼としてみせよう
(「阿吽」より)

【新刊】古屋 朋詩集『ひとつゆび』を刊行しました。

見開かれた瞳に映じる世界の明滅。
新鋭による第一詩集。
装幀=鈴木規子/カバー・口絵写真=manimanium


『ひとつゆび』
A5判・仮フランス装/84頁/定価:2200円+税

このとまらないゆれは
うまれるずっとまえからはじまっていると
どこかに書いてあったようにおもう
大きなゆれにたおれないよう
われないよう
あんしんかんを やすらぎを
かろうじて
ひとつのゆびで
おさえてゆくのだろう
(「ひとつゆび」より)

ぜひお近くの書店にてお手にとってみてください。
小社ホームページからもご購入いただけます。

【新刊】『眞鍋呉夫全句集』、近藤洋太著『眞鍋先生──詩人の生涯』を刊行しました。

眞鍋呉夫生誕100年を記念して『眞鍋呉夫全句集』、近藤洋太著『眞鍋先生──詩人の生涯』の二冊を刊行しました。


『眞鍋呉夫全句集』
A5判・スリーブ函入り/248頁/定価:2700円+税


『眞鍋先生──詩人の生涯』
四六判並製/256頁/定価:2200円+税

『眞鍋呉夫全句集』は生涯、師系を持たず、無結社を貫き、自らの生(エロス)と死(タナトス)を極限まで凝視しつづけた俳人・小説家、眞鍋呉夫の第一句集『花火』、第二句集『雪女』(藤村記念歴程賞、読売文学賞受賞)、第三句集『月魄』(蛇笏賞、日本一行詩大賞、鬣 TATEGAMI俳句賞受賞)から句集未収録作品までを集成した全句集です。

『眞鍋先生──詩人の生涯』は、43年にわたって眞鍋呉夫の謦咳に接した近藤洋太さんによる評伝です。戦時下、同人誌「こをろ」に集った若き文学者たちとの青春、「現在の会」への参加と共産党への入党、日本浪曼派の流れを汲む文芸誌「ポリタイア」への参加、戦争、戦後を通し「孤立においての連帯」を求めた詩人の生涯を描きます。

書籍内容の詳細については各詩集の紹介ページにてご確認いただけます。
ぜひお近くの書店にてお手にとってみてください。
小社ホームページからもご購入いただけます。

【新刊】栗原洋一詩集『岩船』を刊行しました。

1990年代に『吉田』『草庭』の二冊の歴史的な詩集を発表し、以後も世界に対しマージナルな位置で孤独に詩作を続けてきた詩人・栗原洋一の26年ぶりの新詩集がついに刊行。


栗原洋一詩集『岩船』
A5判並製/64頁/定価:2000円+税

「わが身はすでに/鈴虫の/うつせみの灰の身ならば/いまはただこのいつくしみの思いを/この枯野にしずめ/薄明の灰に帰らむ」(「鈴虫」より)

伊予風土記の逸文をモチーフに伊予松山の伝承や神話と詩人の「現在」が往還する長歌「岩船」とその反歌「櫂ノ歌」からなる表題詩篇「岩船」、広島への原爆投下という「歴史的惨事」に対峙する「宇品まで」「厳島」「創造者」など16篇の作品を収める。
栞=稲川方人/林 浩平

はるか遠い古語の文献(「源氏物語」等々)に響いているのはあくまでも「現世」に他ならない。「現世」こそが「常ならぬ世」の彼岸であることを、詩集『岩船』はわれわれに教えるだろう。(稲川方人)

ハイデッガーがその詩論で唱えたように、我々は生の実存的な不安に晒されるなかで、Da「現」の根源的な顕現である「開け」を経験するために詩を書くのである。栗原氏が郷土松山の歴史の裂目に身を差し入れて、歴史事象を題材として詩を書くことこそが、自らの生を「現存在」として掴みとろうとする、のっぴきならない営為ではないだろうか。(林 浩平)