【新刊】林美脉子『悠久の古代紀行 砂に呼ばれて』を刊行しました。


『悠久の古代紀行 砂に呼ばれて』

詩が言葉を受肉する彼方へ
言葉になるまえの遥かな声に呼ばれ、古代がいまだ息づいていたインド、エジプト、中国を巡る詩人のひとり旅

自分はどこからきたのか――。その問いに導かれ、ひとり飛び込んだインドへの旅路にはじまり、エジプト、中国を巡った詩人・林美脉子による約35年前の旅の記録。
抗えない思いに突き動かされて世界4大文明の地を彷徨った著者の言葉によって、いまや感じることのできない、もはや消え去ってしまった古代の混沌とした息吹が感じられる紀行文。
装幀=菊井崇史

四六判・並製/312頁/2500円+税

【新刊】宮田直哉詩集『ある風景』を刊行しました。


『ある風景』

けれども私は待ち望んでいるのかもしれなかった。
目の前の風景が白く永遠と広がってゆく中で、
かつて互いのまぶたの上をかすめていたほのかな明かりと、
互いに感じあっていた微かな体温とが、
忘れ去られ、忘れ果てることを。
(「ある愛の風景」より)

なんでもないような風景に目をやれば、そこには記憶や過去の人々が、ふいに映し出されてしまう。おぼろげに揺らぐ、ともすればつかみそこない、のがしてしまうものを、二人称の呼びかけによってたしかめていくように綴られた41篇の詩。
抒情詩の精髄を引き継ぐ詩人の第2詩集。
装幀=清岡秀哉

A5変形・上製/96頁/2400円+税

【新刊】野木京子詩集『廃屋の月』を刊行しました。


『廃屋の月』

最後に満月を見た日のことは覚えていないけれど
夜になると見るだろう月の姿を昼のうちに思い描くことはできる
わたしにも透き通る触手があればいいのに
そうしたら進む道などは光の方向でしかなくなるから

水面に落ち込んだかつての月明かり、今は亡き人が昔飼っていた犬の鳴き声、夢うつつの気水域に立ち現れるさざなみのような声や断片を拾い集めるように書き継がれた32篇。詩人・野木京子、第6詩集。
装幀=稲川方人

四六判・並製/120頁/2200円+税

【新刊】伊藤悠子詩集『白い着物の子どもたち』を刊行しました。


『白い着物の子どもたち』

美しいと思った日々が/絵画のような遠くを散っている
(「草深百合」より)

思い出というものではない、遠い風景の中の懐かしい微笑みやさびしさ。
少女が乗るブランコのこすれる正確な音によって伝えられる生きる生活。
清澄な叙情を伝える25篇の詩。

A5変形・上製/96頁/定価:2200円+税

女の子は
小学校の七夕の短冊に
にこにこ笑っている女の子を描いて
横に大きく
わたしがやさしくなるように
と書いていた
一年生だった
枇杷色の服ならオーバーコートがそうだった
(「絵のなか」より)

【新刊】松田ゆか詩集『人は眠り 花は歩き』を刊行しました。


『人は眠り 花は歩き』

第一詩集から五年半、風の吹くままに詩作の時を過ごす中で綴られた19篇の詩。
松田ゆか、第二詩集。
カバー絵=小池さよみ/装幀=松田瑞奈子

四六判・並製/72頁/定価:2000円+税

若苗色の実が熟して
微かに揺れもしなくなったころ
とっくの昔に終わった人の後を追う
わたしの先端にしがみついた水滴は
裂けてこぼれる時に声となる
(「藤の夜」より)

【新刊】立木 勲詩集『ウムル アネ ケグリの十二月』を刊行しました。


『ウムル アネ ケグリの十二月』

不安な時代の一隅に生きるヨンとイサオ
ふたりの日々を行き交う思いのかたちに詩の言葉が寄り添う

韓国語で「井戸の中の蛙」を意味する「ウムル アネ ケグリ」。
韓国からやってきたヨンとの暮らしと思いを描いた第一詩集『ヨンとふたりで』に続く第二詩集。

造本・装幀=稲川方人/装画=池英姫(チ ヨンヒ)

A5判・上製/88頁/定価:2000円+税

わたしは ウムル アネ ケグリ です
井戸の中のカエルです
電話の向こうでヨンが泣く

ヨンの井戸にカエルは二匹いるのだよ
僕は言う

一匹はヨンで 一匹は僕なのだよ
(「ウムル アネ ケグリの十二月」より)

穴がそれぞれであれば、這い上がるということもそれぞれであろう。その人たちの声と言葉で繋がることができればと思う。この一冊がそういう詩集であればと思う。(「あとがき」より)

【新刊】坂多瑩子詩集『物語はおしゃべりより早く、汽車に乗って』を刊行しました。


『物語はおしゃべりより早く、汽車に乗って』

抒情からも、抒事からも自由に言葉がはばたいていくとき、詩は、遥かに再来する物語のひとつひとつを、ふかく抱きしめている。
詩人の新たな出発を示す42篇を収めた第七詩集。
栞=杉本 徹/柴田千晶
造本・装幀=稲川方人/装画=高橋千尋
A5変形・並製筒函/132頁/定価:2200円+税

ちっちゃな青空
という言葉がやけに好きだった 松尾和子の歌う「再会」
あたしの見ていた空はいつだって大きかった
よそよそしくていじわるで きどりや
だから あっかんべ
ちっちゃな青空って
かわいい かわいいかわいいといっていると
ひとりにしないでとちっちゃな青空がいうので
抱きかかえてあたしだけのおうちに帰った
(「夏のおわりに父」より)

自分にとって原型となり得る詩、という言葉が常に頭の隅にあった。今ようやく自分の書いてきたおぼつかない詩がジグソーパズルのように一つの風景を見せ始めてくれている。(「あとがき」より)

【新刊】蜆シモーヌ 詩集『膜にそって膜を』を刊行しました。


『膜にそって膜を』

そこにある、やってくる、拡散する言葉/声のうねりにのみ込まれる。
蜆シモーヌ、第二詩集!。
B5判変形/80頁/定価:2400円+税
装幀=鈴木規子

「ぴりか/ぴりか/ここは楽園です。」(「ぴりか」)

「ひとはみずからを/模倣して/なにももたずに、そこをでていく」(「春のために」)