【新刊】『藤田文江全集』を刊行しました。


『藤田文江全集』

戦前・鹿児島の知られざる詩人・藤田文江。
わずかな生涯の中で、その身の内に躍動する漆黒を見つめた藤田の「聲」を、いま呼び起こす。

左川ちか、永瀬清子と同時代を生き、中野重治に高く評価された詩人の初の全集。
唯一の詩集『夜の聲』全篇と未収録詩篇、散文、書簡、編者による解説、妹・林山鈴子氏へのインタビューを収録。
編者=谷口哲郎/装幀=稲川方人

夜の聲は何故こゝまでやつて来た。
おまへの咳を聞いてゐると
私はたまらなく寂しくなる。
然し私は私の里おまへに媚びるよ
私はおまへと共にある時
ほんのわづか富んでゐるのだから。
(『夜の聲』より)

四六判・上製/460頁/3000円+税

【新刊】大杉重男『日本人の条件 東アジア的専制主義批判』を刊行しました。


『日本人の条件 東アジア的専制主義批判』

これは「入門書」でも「専門書」でもない。「門」を破壊する「破門」の書である。

憲法九条、「歴史認識」論争、日本語のエクリチュールを新たな視点から批判的に読み直し、和辻哲郎、夏目漱石、谷崎潤一郎、徳田秋声、福本和夫、中野重治、保田与重郎、大西巨人、三島由紀夫、中上健次、大江健三郎、山田美妙らのテクストの転覆的読解を試みて、「東アジア的専制主義」批判から「東アジア同時革命」へ向かう。「最後の文芸批評家」による「最新」の「時間錯誤」的日本=文芸批評。
装幀=清岡秀哉

「私がここで素描を試みたいのは、日本人が「主体性」あるいは「主権」を持つべきなのか、持たないことによってどのように「人間」あるいは「動物」から隔たっているのか、持つとすればそれはどのようなものでなければならないか、そうした問いを、専ら文学を中心とした近現代の日本の文化言語表象の分析を通して検証することである。これは「日本人」の条件を問うことであると同時に「日本国」「日本語」「日本文学」の条件を問うことでもある。」(「序章「日本人工学三原則」としての憲法九条」より)

A5判・上製/536頁/4500円+税

【新刊】中尾太一詩集『ルート29 、解放 新装版』を刊行しました。


『ルート29 、解放 新装版』

中尾太一詩集『ルート29、解放』(2022年)が森井勇佑監督(『こちらあみ子』)により映画化!
映画『ルート29』原作詩集の新装版
装幀=清岡秀哉
四六判・並製/136頁/2000円+税

▪️映画公開情報
『ルート29』
11月8日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
出演:綾瀬はるか、大沢一菜、市川実日子、高良健吾、河井青葉
監督・脚本:森井勇佑
配給:東京テアトル、リトルモア
©2024「ルート29」製作委員会
公式サイト:route29-movie.com/

野木京子詩集『廃屋の月』第35回富田砕花賞受賞!

野木京子さんの詩集『廃屋の月』が第35回富田砕花賞を受賞しました。

最後に満月を見た日のことは覚えていないけれど
夜になると見るだろう月の姿を昼のうちに思い描くことはできる
わたしにも透き通る触手があればいいのに
そうしたら進む道などは光の方向でしかなくなるから

水面に落ち込んだかつての月明かり、今は亡き人が昔飼っていた犬の鳴き声、夢うつつの気水域に立ち現れるさざなみのような声や断片を拾い集めるように書き継がれた32篇。詩人・野木京子、第6詩集。
装幀=稲川方人


『廃屋の月』
四六判・並製/120頁/2200円+税

伊藤悠子詩集『白い着物のこどもたち』第31回丸山薫賞受賞!

伊藤悠子さんの詩集『白い着物のこどもたち』が第31回丸山薫賞を受賞しました。

美しいと思った日々が/絵画のような遠くを散っている
(「草深百合」より)

思い出というものではない、遠い風景の中の懐かしい微笑みやさびしさ。
少女が乗るブランコのこすれる正確な音によって伝えられる生きる生活。
清澄な叙情を伝える25篇の詩。


『白い着物のこどもたち』
A5変形・上製/96頁/2200円+税

【新刊】冨岡悦子詩集『斐伊川相聞』を刊行しました。


『斐伊川相聞』

八雲たつ地は きょうは雨降り。出雲空港に降り立ったひとつの意志が時を重ねたみずからの生の消息を川の蛇行に沿ってさまよう父に告げる。
小熊秀雄賞・小野十三郎賞受賞の『反暴力考』から4年、冨岡悦子新詩集。
装幀=稲川方人

父とふたり 川を見つめていた
水は滔々と流れ 岸をあらった
川を渡る判断は 父の右手にあり
左手は 私の手を握っていた
はねあがる 褐色の冬の鹿が
脳裏で ひときわ高く跳んだ
後裔を絶った人の 声がよみがえってくる
さざれ石を 荘厳な声で うたうな
(「父の右の手」より)

四六判・上製(コデックス装 ドイツ装)/80頁/2400円+税

【新刊】林美脉子『悠久の古代紀行 砂に呼ばれて』を刊行しました。


『悠久の古代紀行 砂に呼ばれて』

詩が言葉を受肉する彼方へ
言葉になるまえの遥かな声に呼ばれ、古代がいまだ息づいていたインド、エジプト、中国を巡る詩人のひとり旅

自分はどこからきたのか――。その問いに導かれ、ひとり飛び込んだインドへの旅路にはじまり、エジプト、中国を巡った詩人・林美脉子による約35年前の旅の記録。
抗えない思いに突き動かされて世界4大文明の地を彷徨った著者の言葉によって、いまや感じることのできない、もはや消え去ってしまった古代の混沌とした息吹が感じられる紀行文。
装幀=菊井崇史

四六判・並製/312頁/2500円+税

【新刊】宮田直哉詩集『ある風景』を刊行しました。


『ある風景』

けれども私は待ち望んでいるのかもしれなかった。
目の前の風景が白く永遠と広がってゆく中で、
かつて互いのまぶたの上をかすめていたほのかな明かりと、
互いに感じあっていた微かな体温とが、
忘れ去られ、忘れ果てることを。
(「ある愛の風景」より)

なんでもないような風景に目をやれば、そこには記憶や過去の人々が、ふいに映し出されてしまう。おぼろげに揺らぐ、ともすればつかみそこない、のがしてしまうものを、二人称の呼びかけによってたしかめていくように綴られた41篇の詩。
抒情詩の精髄を引き継ぐ詩人の第2詩集。
装幀=清岡秀哉

A5変形・上製/96頁/2400円+税

【新刊】野木京子詩集『廃屋の月』を刊行しました。


『廃屋の月』

最後に満月を見た日のことは覚えていないけれど
夜になると見るだろう月の姿を昼のうちに思い描くことはできる
わたしにも透き通る触手があればいいのに
そうしたら進む道などは光の方向でしかなくなるから

水面に落ち込んだかつての月明かり、今は亡き人が昔飼っていた犬の鳴き声、夢うつつの気水域に立ち現れるさざなみのような声や断片を拾い集めるように書き継がれた32篇。詩人・野木京子、第6詩集。
装幀=稲川方人

四六判・並製/120頁/2200円+税