『中原中也──傍らの詩人』
四六判・並製/192頁/2200円+税
朽ちることなく語り継がれる中原中也の像に
いままた新たな声を寄せる。
中也の言葉の魅力を伝える批評、旧論への補遺となる論考、ゆかりの地を訪れた時の思いを綴るエッセイ、中也を描いた映画の評論を収めた第二評論集。
私の中原中也愛読歴も半世紀を超えた。二〇一三(平成二十五)年の、四十年かかった『中原中也のながれに 小石ばかりの、河原があって、』 (思潮社) 刊行から早くも十年以上が経ってしまったが、いつも傍らにあり、生の節々に奥処より湧き上がる中原の言葉は、変わることなく私の中に横たわり支えとなっている。
(「エピローグ」より)
カテゴリー: shinkan
【新刊】橘麻巳子詩集『知らない気配、幽かなあわい』を刊行しました。
『知らない気配、幽かなあわい』
A5変形・並製/60頁/2200円+税
未知の気配に触れる、言葉のふるえ。
吸い殻の消えない煙、薄紅の雲、埃を被った鋏、まだ彫られていない皮膚の刺青──。
世界のあわいをたどる22篇。第三詩集。
匂う 急な
大輪。
わたしは時間の破れるのを待っていた
一度は取れた翅を逆さに背負い
逃げもしない日差しの中で
向かっていく
(「みずいろ」より)
【新刊】『絓秀実セレクション1 増補新版 花田清輝 砂のペルソナ』を刊行しました。
『絓秀実セレクション1 増補新版 花田清輝 砂のペルソナ』
四六判・上製/368頁/3600円+税
批評は反省しない。
モラリスト論争、花田‐吉本論争、「政治と文学」問題を検証し、疎外論批判の重要性を告げた絓秀実初の単著、待望の復刊。
花田の正統性の再評価を試みる「花田清輝の「党」」を付した増補新版。
解説=長濱一眞
特別付録インタビュー「『花田清輝 砂のペルソナ』の頃」
装幀=清岡秀哉
【新刊】河口夏実詩集『ソングバード』を刊行しました。
『ソングバード』
A5変形・並製/124頁/2200円+税
第一詩集『雪ひとひら、ひとひらが妹のように思える日よ』で第27回歴程新鋭賞を受賞した河口夏実、10年ぶりの待望の第二詩集。
くるしみよりも自由なこころを歌う珠玉の24篇。
おやすみ
おおきく握手をして別れよう
ここで立ちすくむ
筋力なら
すこし鍛えたほうがいいよ
羽根がひろがる歌をうたって天に近づく
角を曲がっていく
まぼろしの音楽が聞こえる
(「ラジオの日々」より)
【新刊】冨岡悦子詩集『海辺の翼』を刊行しました。
『海辺の翼』
四六判・並製/84頁/2000円+税
柔らかな理性に抱かれるまなざし
さまようこころにも言葉は寄り添い
喧噪なき道行きを慈しむ
前詩集『斐伊川相聞』で第58回日本詩人クラブ賞を受賞した冨岡悦子、新詩集。
秋の夜、わたしのフネに人を招いた。
黒葡萄と手書きの海図をたずさえて、
あなたはそっと足を踏み入れた。
ちいさなフネに、ようこそ、狭いけれど、ようこそ。
これから陸地を離れてふたり、夜をわたるのね。
今夜はいざよいの月。
東から浮かんで、しずしずのぼってゆく。
月はこうこうとあなたの海図を照らし、
ここがどこなのか人差し指を重ね、
アクロス・ザ・ユニバースをふたりで口ずさんで。
わたしたちの夜が
こわれないように
額の奥で
祈りながら。
(「いざようよ」より)
【新刊】大石ともみ詩集『unlearn アンラーン』を刊行しました。
『unlearn アンラーン』
A5変形・上製/120頁/2400円+税
かなしみというゆたかさがあると
わたしたちがいつか伝えうる日のために
いくつの問いかけどれほどのunlearn
学びなおし学びほぐす日々を重ねていくだろう
大石ともみ、第5詩集。
装幀=清岡秀哉
やわらかく微笑んで
澄んで透きとおって
生を終えた日
窓の外
青空に風花が舞って
日一日と澄んでいった母は
風花のなかにいた
(「風花(二)」より)
【新刊】沢田敏子詩集『祝祭の種』を刊行しました。
『祝祭の種』
A5変形・上製/108頁/2200円+税
大道芸人の家族は国境を越えられただろうか
祝祭の種は運ばれただろうか
この時代に、言葉を携えて生き延びるための、祈りにも似た20篇の詩。
沢田敏子、第9詩集。
装幀=清岡秀哉
地軸は もういなくなったひとたちの重さで
ぎ・し・り と いちにちを回転させる
いなくなった ひとよ
だから ずっと いてください
(「火夫と麵麭屋」より)
【新刊】鈴木正枝詩集『秘かに青く、深く』を刊行しました。
『秘かに青く、深く』
A5判・並製/88頁/2000円+税
ひとつのベンチで、部屋で、ひとつの時を、視野を、分かち合う。やがて、それが断たれる日、独りの眼差しに誘われるもの。
前詩集『そこに月があったということに』で第13回日本詩歌句随筆評論大賞詩部門大賞受賞した鈴木正枝、第三詩集。
装幀=稲川方人。
あなたの大きく見開いた眼が
わたしの視線を切り落とし
何かが壊れてはらはらとこぼれ落ちる
それはふたりの肩に
少しゆるんだ言い訳のように降り積もり
耐えきれない沈黙の端がほころびて
床がゆっくりと濡れていく
(「共有される沈黙」より)
【新刊】坂多瑩子詩集『おはようジャック&ベティ』を刊行しました。
『おはようジャック&ベティ』
A5変形・並製/96頁/2000円+税
あなたは/ジャック・ジョーンズですか
わたしはベティ・スミス/革靴をはいてます
ずっと昔の昨日へ弾んでゆけ、詩よ。世界は擦れちがう破片の愛ばかり。
坂多瑩子新詩集。
装幀=稲川方人。
シーちゃんは家船っ子
川に落っこちた話ばかりするので
何してたのどうしたの
わざと聞いて
それでそれでと笑いころげる
ええ者がええ者のまま生きていくのって
息苦しくてしかたがないよ
わるもんいっぱいの映画はなんて痛快なのだろう
なんちゃらかんちゃら風船みたいにかるくて
大きく深呼吸してごめんなんていわなくていい
ズックのかたわれが流れていく
だからなんなの
ハウスボートやねん
影のように座っているシーちゃんがおいでよとあたしを呼んだ
ひまとよ川の祭り
うすく花火があがっている
(「ひまとよ川」より)
【新刊】福島直哉詩集『星の身体』を刊行しました。
『星の身体』
A5変形・上製(コデックス装 ドイツ装)/88頁/2400円+税
かさなりあうことのないわたしとあなたの瞳に映る記憶の故郷、彼方の岸辺。
涙を失くし、季節を失くし身体を失くしても、生まれくる無名のまたたきが次々にこぼれ落ちる。
待望の福島直哉第二詩集ついに刊行。深き抒情の森へ!
装幀=稲川方人
からだをなくして
それでも生きているさびしさをいのちと呼んで
わたしはもう二度と
誰かに会うことはなくなって
そのことに少しほっとしながら
溜息をこぼすようにそっと空を見上げて
ひかりとかげが一つの音のように
雲の中を流れてゆくあいだ
わたしはこえやことばを使うことに
激しくかなしみながら
そこで流れてゆく多くの景色を
故郷のように眺めている
(「椿の葉は鉛色の光を含み」より)