【新刊】橘 麻巳子詩集 知らない気配、幽かなあわい

著者:橘麻巳子
定価:2200円+税
判型:A5変形・並製
ページ数:60
ISBN:978-4-908568-61-9

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書籍の説明

未知の気配に触れる言葉のふるえ。
吸い殻の消えない煙、薄紅の雲、埃を被った鋏、まだ彫られていない皮膚の刺青──。
世界のあわいをたどる22篇。第三詩集。
装幀=鈴木規子

ゆっくりと日輪滑り
その切れ端は水底にも溶け出している
にんげんたちは知らずに鎮まっている
吸い殻の、消えない煙高くなり
つぼみにも茎にもたかる幼虫の
噴水のよう。

両手で押しいただくように
しばらくの霧雨が、うれしい
上がったのを知ったのは
落ち葉に見えていた虫が
その翅をゆっくり開き
中の水色を見せたため。
最後の雨粒がその上を転げ
無言で熟れきった昼は
とっくに弾けて
手のひらはずぶ濡れになる

匂う 急な
大輪。
わたしは時間の破れるのを待っていた
一度は取れた翅を逆さに背負い
逃げもしない日差しの中で
向かっていく
(「みずいろ」)

著者プロフィール
橘 麻巳子(たちばな・まみこ)
1989年生。
詩集
『声霊』(七月堂)
『リベオートラ』(書肆子午線)

目次

みずいろ
屏風
硝子戸の中
水鏡

バックチャーム
砂漠
若冲
ハンプティー・ラプソディー
コルコバードの夜煮
おばけ、おしまい
汽笛
狂っても
シネマ
橋の端

テレビスター
ワイルドベリー
よそゆき
操縦士
ブオナスタンザ
海を注ぐ