
大道芸人の家族は国境を越えられただろうか
祝祭の種は運ばれただろうか
この時代に、言葉を携えて生き延びるための、祈りにも似た20篇の詩。
沢田敏子、第9詩集。
装幀=清岡秀哉
地軸は もういなくなったひとたちの重さで
ぎ・し・り と いちにちを回転させる
いなくなった ひとよ
だから ずっと いてください
(「火夫と麵麭屋」より)
著者プロフィール
沢田敏子(さわだ・としこ)
愛知県生まれ。日本現代詩人会・日本詩人クラブ会員。
既刊詩集
『女人説話』(1971年)、『市井の包み』(1976年)第十回小熊秀雄賞、『未了』(1980年)第二十一回中日詩賞、『漲る日』(1990年)、『ねいろがひびく』(2009年)、『からだかなしむひと』(2016年)、『サ・ブ・ラ、此の岸で』(2018年)、『一通の配達不能郵便(デッド・レター)がわたしを呼んだ』(2020年)。