書籍の説明
詩が言葉を受肉する彼方へ
言葉になるまえの遥かな声に呼ばれ、古代がいまだ息づいていたインド、エジプト、中国を巡る詩人のひとり旅
自分はどこからきたのか――。その問いに導かれ、ひとり飛び込んだインドへの旅路にはじまり、エジプト、中国を巡った詩人・林美脉子による約35年前の旅の記録。
抗えない思いに突き動かされて世界4大文明の地を彷徨った著者の言葉によって、いまや感じることのできない、もはや消え去ってしまった古代の混沌とした息吹が感じられる紀行文。
装幀=菊井崇史
「人間はひとりになりひとりを引き受けた時、逆に孤独から解放されるものなのかもしれない。ひとりを恐れ一人を逃げれば、逃げる速度で孤独はかえって深まるのだろう。/追いかけてくるそれらにあまり逆らわずに、ああそうかと身をあずけそこに飛び込んでみれば、世界は思いがけない優しさでそこから開けていくのだ。」(「インド・エジプトひとり旅 砂に呼ばれて ひとり旅開眼」より)
著者プロフィール
林美脉子(はやし・みおこ)
詩人。北海道滝川市生まれ札幌市在住。第1詩集に『撃つ夏』(創映出版、1974年)。
インドをテーマにした第3詩集『緋のシャンバラへ』(書肆山田、1985年)所収の作品「陰画の岸」で第8回ケネスレクスロス詩賞を受賞。
エジプト旅行の詩作品を含む第4詩集『新シルル紀・考』(書肆山田、1988年)。
第5詩集『宙音』(書肆山田、2011年)で第45回北海道新聞文学賞詩部門本賞受賞。
以後、詩集『黄泉幻記』(2013年)、『エフェメラの夜陰』(2015年)、『タエ・恩寵の道行』(2017年、いずれも書肆山田)、『レゴリス/北緯四十三度』(思潮社、2013年)を刊行。
目次
はじめに
インド・エジプトひとり旅 砂に呼ばれて
幼年の砂漠体験
月の砂漠を
石の秘密
なにゆえにこの宇宙項へ
ひとり旅開眼
声の受肉
中国ひとり旅 異次元へのくぐり戸
謎めいた拒絶感――西安へ
桃源郷と黄泉境――西安から酒泉へ
飛天乱舞――敦煌へ
南京東路大団円――蘭州から上海へ
おわりに
インド・エジプトひとり旅 砂に呼ばれて
幼年の砂漠体験
月の砂漠を
石の秘密
なにゆえにこの宇宙項へ
ひとり旅開眼
声の受肉
中国ひとり旅 異次元へのくぐり戸
謎めいた拒絶感――西安へ
桃源郷と黄泉境――西安から酒泉へ
飛天乱舞――敦煌へ
南京東路大団円――蘭州から上海へ
おわりに