【新刊】鈴木正枝詩集 秘かに青く、深く

著者:鈴木正枝
定価:2000円+税
判型:A5判・並製
ページ数:88
ISBN:978-4-908568-54-1

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書籍の説明

ひとつのベンチで、部屋で、ひとつの時を、視野を、分かち合う。やがて、それが断たれる日、独りの眼差しに誘われるもの。
前詩集『そこに月があったということに』で第13回日本詩歌句随筆評論大賞詩部門大賞受賞した鈴木正枝、第三詩集。
装幀=稲川方人。

あなたの大きく見開いた眼が
わたしの視線を切り落とし
何かが壊れてはらはらとこぼれ落ちる
それはふたりの肩に
少しゆるんだ言い訳のように降り積もり
耐えきれない沈黙の端がほころびて
床がゆっくりと濡れていく
(「共有される沈黙」より)

著者プロフィール
鈴木正枝(すずき・まさえ)
茨城県出身。横浜市在住。
『そこに月があったということに』(2016年、書肆 子午線)で第13回日本詩歌句随筆評論大賞詩部門大賞受賞。
その他の詩集に『キャベツのくに』(2010年 ふらんす堂)。
詩誌「タンブルウィード」「天国飲屋」「るなりあ」同人。

目次


ひとつのベンチで
共有される沈黙
落日のあとで
とわの一枚
崩れいく果実
人影の窓
シンフォニーのとき
離岸
不等式の命題に、微風が
つくられてしまう関係
返信
逸らされた視線
無名の地まで
ある対話のかたち
無伴奏


カルデラ地帯
厳冬夜
笛をたずさえ
限りなく透視して
消失点のゆくえ
帰っていく
塔へ
ブロッコリーの青空
投げ返されたもの
野に立ちて
耳のかたちに
小さく白い
屈折していく方角
たとえば花
秘かに青く
ふたつの位置

あとがき