【近刊】斐伊川相聞

著者:冨岡悦子
定価:2400円+税
判型:四六判・上製(コデックス装 ドイツ装)
ページ数:80
ISBN:978-4-908568-44-2

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書籍の説明

八雲たつ地は きょうは雨降り。出雲空港に降り立ったひとつの意志が時を重ねたみずからの生の消息を川の蛇行に沿ってさまよう父に告げる。
小熊秀雄賞・小野十三郎賞受賞の『反暴力考』から4年、冨岡悦子新詩集。

父とふたり 川を見つめていた
水は滔々と流れ 岸をあらった
川を渡る判断は 父の右手にあり
左手は 私の手を握っていた
はねあがる 褐色の冬の鹿が
脳裏で ひときわ高く跳んだ
後裔を絶った人の 声がよみがえってくる
さざれ石を 荘厳な声で うたうな
(「父の右の手」より)

著者プロフィール
冨岡悦子(とみおか・えつこ)
1959年東京都生まれ
著書
『植物詩の世界 日本のこころ ドイツのこころ』(2004年 神奈川新聞社)
『パウル・ツェランと石原吉郎』(2014年 みすず書房 第15回日本詩人クラブ詩界賞受賞)
詩集
『椿葬』(2007年 七月堂)
『ベルリン詩篇』(2016年 思潮社)
『反暴力考』(2020年 響文社 第54回小熊秀雄賞・第23回小野十三郎賞受賞)

目次

デラシネ
出雲空港
玉造温泉
荒神谷
遁走
シフク
墓の山
天寺平廃寺
スワンの涙
ああ くぐい
鉄の扉
父の右の手
マイ・ファザース・ガン
スーパーノヴァ
サイドカーに乗って
瓜子あまのじゃく
さっきまで
ぬかるむ
深く葬る
父の体温
鉄の砂
川の名を
書記を継ぐ
忘却にあらがう
裂け目を入れる
はたらく指
斐伊川相聞