書籍の説明
人と時代に寄り添いながら明日をさまよう悲しみの行方について語ろう
詩の可能性に、私たちはいま何を問うのだろうか
映画『ルート29』の原作として話題となった『ルート29、解放』、第40回詩歌文学館賞を受賞した『フロム・ティンバーランド』を超えて新たな詩の地平をひらく最新詩集。
表紙絵=榊原澄人/造本・装幀=稲川方人
わたしは長いあいだきみを探しています
部屋に迷い込んだ日差しが息をひそめてあたりを見回しています
わたしの時間も光を受けたまま、静物のように止まっています
その光源を予感するわたしの魂は若いままですが、それによってわたしは苦しみました
いつか「君韻」という言葉の意味が載った詩集を見つけたとき
わたしはうれしかった
そこには琥珀の写真も添えてありました
琥珀のなかには「繋ごうとした手」の「動き」が入っていました
まだ生きていたんだね、とわたしの頬を涙が伝いました
そこで恋という文字を拾ったときもうれしかった
それはわたしの寂しい庭、何もない庭を彩るたったひとつの言葉でした
(「君韻幻灯機」より)
著者プロフィール
中尾太一(なかお・たいち)
1978年、鳥取県生まれ。2006年、思潮社50周年記念現代詩新人賞。詩集に『数式に物語を代入しながら何も言わなくなったFに、掲げる詩集』、『御世の戦示の木の下で』、『現代詩文庫 中尾太一詩集』、『ア・ノート・オブ・フェイス』、『ナウシカアの花の色と、〇七年ゼロナナの風の束』(第10回鮎川信夫賞)、『詩篇 パパパ・ロビンソン』、『ルート29、解放』(映画『ルート29』原作)、『フロム・ティンバーランド』(第40回詩歌文学館賞)。
目次
Ⅰ
自由のための栞
風のボクサー
梅田
音楽よ、こんにちは
フォルクスの舟に乗って
でも、ときどき悲しくなる
子どものための詩論
自由のための栞
Ⅱ
さようなら、きみいん
君韻幻灯機
女王の遠征
セント・エルモの火
わたしは絆
風の吹く庭にいる
バード
詩、扉を開いて
冬ごもりの詩
自由のための栞
風のボクサー
梅田
音楽よ、こんにちは
フォルクスの舟に乗って
でも、ときどき悲しくなる
子どものための詩論
自由のための栞
Ⅱ
さようなら、きみいん
君韻幻灯機
女王の遠征
セント・エルモの火
わたしは絆
風の吹く庭にいる
バード
詩、扉を開いて
冬ごもりの詩